アブストラクト(31巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓手術後の消化管出血について -術後急性腎不全との関連-
Subtitle : 原著
Authors : 青柳和彦, 長島道夫, 中原秀樹, 大久保靖, 木村信良, 三島好雄
Authors(kana) :
Organization : 東京医科歯科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 3
Page : 354-363
Year/Month : 1983 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓手術後における消化管出血はまれなものながら致命率の高い重篤な合併症である. 本論文は心手術後の腎機能及び肝機能の変動と消化管出血の関係を検討し, その発生に関する諸因子を分析して適切な対策を見いだすことを目的とした. 心手術症例26例を, 術後急性腎不全を発生した5例(腎不全群)と残りの21例(対照群)に分け, 血中gastrin, BUN, creatinine, K, GOT, GPT, LDHを測定して比較検討した. 以下の結果を得た. 1) 術後消化管出血は26例中3例にみられ, 術後急性腎不全を合併したものに発生した. 2) 術後急性腎不全群は血清gastrin値が上昇し, その上昇度の著しいものに消化管出血が発生した. 血液透析によってgastrinは低下した. 3) 腎不全群のBUN, creatinine, Kの変動は血清gastrinと相関関係が認められた. 4) 腎不全群のGOT, GPT, LDHの変動は血清gastrinと弱い相関々係が認められた. 以上のことから心臓手術後の消化管出血の予防には, まず術後急性腎不全を防止することが大切である. 急性腎不全が発生したら, 消化管出血を予想して十分な対策を講ずるべきである. その発生因子の1つとして血清gastrinの上昇がある. 血液透析はBUN, creatinine, K, とともに血清gastrinも低下せしめる効果があるが, 肝機能には逆に悪影響を及ぼす. 急性腎不全発生後における肝障害もまた血清gastrinの上昇を促す因子となるので, 腎不全の治療と同時に肝障害に対する対策を行う必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心臓手術後消化管出血, 心臓手術後急性腎不全, 血液透析, ストレス潰瘍, ガストリン
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