Authors : |
奥秀喬, 家村順三, 楠本幸弘, 若木伸夫, 佐賀俊彦, 片山治, 皐弘志, 則武正三, 西岡孝純, 河井淳, 城谷均 |
Abstract : |
比較的まれな並列心耳を伴う複雑心奇形を経験したので, これらを紹介し, 報告例を集計して解剖及び合併奇形との関係並びに外科治療について検討した. 1) 自験4例中, 左側並列心耳はACM (SDL)及びTGA (SDD)の2例に, 右側並列心耳はACM (ILD)及びDORV (IDD)にみられ, 2例にGlenn手術を, open infundibulectony及びA-P短絡を各1例に行った. 2) situs solitusは極めてまれであり, 特に右側並列心耳では文献上見当たらず, 著者らの2例は最初の報告例と思われる. 3) conotruncusの異常は左側並列心耳の98%, 右側並列心耳の58%の症例にみられ, 前者にはTGA, 後者にはACMが多かった. 4) 本症にはVSD, ASD及び右心系奇形を伴うチアノーゼ性複雑心奇形が多く, 主として, 姑息手術の対象となるが, 根治術の適応例もある. 5) 左側並列心耳を伴うTGAでは右房が小さいためMustard手術の際, これを拡大することが重要であり, また, 洞結節の位置異常に留意することが肝要である. |