アブストラクト(31巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後における予防的抗生物質投与の検討
Subtitle : 原著
Authors : 斉藤朗子1), 田中一彦1), 公文啓二1), 林研二2), 笹木秀幹2), 内藤泰顕2), 藤田毅2)
Authors(kana) :
Organization : 1)国立循環器病センターICU, 2)国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 4
Page : 476-479
Year/Month : 1983 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後早期には予防的抗生物質投与を行うことが一般的であるが, 薬剤の選択や投与方法に関しては, 現在でも種々の議論がなされている. 国立循環器病センターICUにおける予防的抗生物質投与法は, 次に述べるごとく過去3回変更されている. 1977年8月から1979年5月までは, CETとCBPCの二剤併用を行い, 1979年5月から1981年3月まではCET単独投与とした. 投与量は, それぞれ40mg/kgを1日4回, 2時間かけて点滴静注した. 1981年4月からはCET又はCEZを30mg/kg, 1日3回同様に投与した. 予防的抗生物質としては, 原則として術後4日間投与し, 必要に応じて他剤に変更した. 対象として各期間より100例ずつ選び出し, CETとCBPC併用群をA群, CET単独投与群をB群, CET又はCEZを投与した群をC群とした. 各群について, 術後4日間の喀痰, 尿及び血液中の培養陽性例数を検討したところ, A群では喀痰中4例, 尿中2例, B群では喀痰中2例, 尿中3例, C群では喀痰中のみ2例検出され, 血液中からは各群とも培養陽性例はなかった. 総培養陽性例数はA群からC群へと減少する傾向にあったが有意差はなく, それぞれ満足すべき予防的効果を示した. 培養された菌としてはグラム陰性桿菌が多かった. しかしC群について検討してみると, 術後4日間に検出された菌が, その後再び検出されることはなく, 重篤な感染症の原因菌となったものはなかった. 菌交代症や耐性菌の発生を考慮すると, 抗生物質の投与量はできるだけ少ないことが望ましく, 術後早期の予防的投与としては, C群の投与量, 投与方法でよいと思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術, 予防的抗生物質投与, 抗生物質, 感染症, 菌培養
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