Abstract : |
補助循環の不全心に及ぼす効果と, 併せて拍動流と定常流の違いを血行動態並びに代謝面, 特に心筋代謝面から, 12頭の雑種成犬を用いて比較検討した. 血液ポンプ(東レ社製容量60ml, ポリウレタン製, Bjork-Shiley弁付き), 空気駆動式駆動装置(医療福祉機器研究所開発, Model55)を用いてcounterpulsationを行う拍動流体外循環と, ローラーポンプによる定常流体外循環とを行った. 送血量80ml/kgの完全体外循環下, 送血流量のうち一定の割合で肺動脈に送血することで, 一定の流量補助率を得た. 直腸温32.0℃で30分間の心停止の後, それぞれ30分間ずつ, 100%, 50%, 20%と段階的に補助率を下げて, 体外循環からのweaningと同様の過程を経て, 人工心肺からの離脱を計った. この様式を拍動流+counterpulsationと定常流とで行い, 以下の結果を得た.1. 段階的weaningの形をとった今回の実験での代謝面からの検討では, 拍動流灌流+counterpulsationと, 定常流灌流とでは, 50%補助までは有意差が認められなかったが, 20%補助後に至って初めて有意差を生じた. 2. 拍動流灌流+counterpulsationでは, 100%, 50%, 20%のいずれの場合でもDPYI/TTIは1.2を超えた. 3. DPTI/TTI≧1.2の群に比べ, 冠血流量は減少しているものの, 心筋代謝面では, より良好な心不全状態からの回復改善を示していた. 従って補助循環の効果判定には, 冠血流量だけではなく心筋代謝面からの検討も必要であると思われた. |