| Authors ： |
鬼頭義次1), 藤田毅1), 小原邦義1), 小坂井嘉夫1), 川副浩平1), 土師一夫3), 斉藤宗靖3), 平盛勝彦3), 西村恒彦2), 植原敏勇2), 小塚隆弘2), 曲直部寿夫1) |
| Abstract ： |
ACバイパス術後の心機能, 特に運動負荷時の心機能に及ぼす効果についてRIアンジオグラフィー法により検討を加えた. 対象はACバイパス術施行27例で心筋梗塞非合併例で非梗塞領域支配血管へのバイパス例（A群, 完全バイパス群）, 心筋梗塞合併例で非梗塞領域全支配血管へのバイパス例（B 群, 外科的完全バイパス群）, 及び非梗塞支配血管への一部バイパス不能又はグラフト閉塞例（C群, 不完全バイパス群）に分類した. 運動負荷は自転車エルゴメーターを使用し術前はsubmaximalまで, 術後は術前と同程度かそれ以上の負荷を与えた. 脈拍数の変化についてみると術後運動負荷によりA, B, C群で各々81±7/分より116±11/分へ, 86±13/分より114±12/分へ, 80±11/分より106±13/分へと術前に比較し著明に増加した. EFの変化についてみると術前は運動負荷によりA, B, C群で各々61±7%より58±12%へ, 53± 10%より49±7%へ, 54±8%より52±8%へ低下傾向を認めたが, 術後は各々66±7%より, 77±6%へ49±11%より56±13%へ, 54±8%より59±10%へと増加傾向を示し, A群は他の群に比較し高値を示していた. dv/dt(Vmax/sec)の変化についてみると術前は運動負荷によりA, B, C群で各々4.0±1.0より4.4±1.0へ, 2.5±1.0より3.4±1.5へ, 3.0±0.5より3.4±0.6へ増加傾向を認め, 術後は各々3.9±0.5より6.2±0.7へ, 3.5±0.9より5.0±0.7へ, 3.6±1.0より5.4±1.5へ増加し, その増加傾向は術前に比較し明らかに有意であったが, A, B, C群間には有意差を認めなかった. ニトログリセリン舌下によるEF, dv/dtの変化についても運動負荷時と同様の傾向を認めた. 以上, 術後運動負荷の心機能は完全バイパス群が他の群に比較し優れていた. また, 運動負荷RIアンジオグラフィーは非観的診断法として術後の心機能評価に有用である. |
