アブストラクト(31巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 乳児期大動脈縮窄症及び大動脈弓離断症に対する外科治療
Subtitle :
Authors : 村岡隆介1), 横田通夫2), 青嶋実2), 野本慎一2), 曲人伸2), 小林彰2), 中野博行3), 上田憲3), 斉藤彰博3)
Authors(kana) :
Organization : 1)福井医科大学第2外科, 2)静岡県立こども病院心臓血管外科, 3)静岡県立こども病院循環器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 6
Page : 851-856
Year/Month : 1983 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 乳児期大動脈縮窄症(以下CoA)13例及び大動脈弓離断症(以下IAA)2例計15例に対して手術を行った. 手術年齢は平均59日で15例中11例は2ヵ月未満であった. 15例中14例に心内奇形を合併しその内訳は心室中隔欠損を主とするもの11例, 複雑心奇形3例であった. 入院時高度のうっ血性心不全, 呼吸困難, アシドーシスを呈するものが多数を占め15例中12例が緊急手術であった. 最近の6例では手術までの時間短縮と心臓カテーテル検査による状態悪化を避けるため術前診断は超音波断層法と橈骨動脈注入による大動脈造影によった. CoAに対しては13例すべてに初回手術として大動脈再建を行い手術死亡は2例であった. 大動脈再建法として鎖骨下動脈フラップ法を11例に, 縮窄部切除端々吻合を2例に用いた. 肺動脈絞扼術は併用した初期の3例でその効果が疑わしく4例目で絞扼操作中に徐脈, 低血圧を来し, それが原因で死亡したためその後は複雑心奇形以外は併用しない方針を採った. 二期的根治手術は初回手術後平均3.4ヵ月で7例に行い1例を失った. 2例の心室中隔欠損を合併するIAAに対しては3ヵ月の1例に動脈管を大動脈弓の一部として利用する新しい方法で一期的根治手術を, 他の生後28日の動脈管の狭小な1例に初回Blalock-Park手術を, 6ヵ月後二期的開心術を行いともに救命した. 生存例に対して術後最長5年1ヵ月平均31±17ヵ月の追跡を行い上下肢収縮期血圧差が20mmHg以上を示したものが3例(切除端々吻合1/2, 鎖骨下動脈フラップ法1/9, Blalock/Park法1/1)みられた. 新生児期, 乳児期早期のCoA及びIAAは一旦発症すれば急速に状態が悪化するため術前の厳重な呼吸循環管理とアシドーシスの矯正, 迅速な負担の少ない診断, 十分に狭窄あるいは閉塞を解除できる術式による早期手術が成績向上のために必要であると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳児期大動脈縮窄症, 乳児期大動脈弓離断症, 緊急手術, 鎖骨下動脈フラップ法
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