アブストラクト(31巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 無血体外循環と充填血体外循環における腎機能及び呼吸機能の比較検討
Subtitle :
Authors : 川上恭司1), 田中一彦1), 公文啓二1), 林研二1), 小林百合雄1), 鈴木照1), 康義治2), 富野哲夫2), 内藤泰顕2), 藤田毅2)
Authors(kana) :
Organization : 1)国立循環器病センターICU, 2)国立循環器病センター心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 6
Page : 863-870
Year/Month : 1983 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 近年, 無血体外循環法が広く行われるようになったが, いまだ種々の問題が残されている. そこで, 今回我々は, 無血体外循環と, 充填血体外循環における腎機能及び呼吸機能について比較検討を行った. 対象とした症例は, 1979年1月から1981年7月までの体重30kg以上の開心術症例のうち系統的に腎機能検査及び呼吸機能検査を行った無血体外循環症例115例, 充填血体外循環症例120例, 計235例である. これらの症例を体外循環時間により, A群:<60分(無血:充填血=24例:15例), B群:<60 分≦<90分(43例:33例), C群:90分≦<120分(26例:44例), D群:120分≦<180分(22例:28例), の4群に分類した. 1. 体外循環中の分時尿量は, 充填血群に比べて無血群において有意に増大した. 2. Scr, Ccr, CH2o, ともに, 無血群と充填血群の間に有意差は認められなかった. 3. 体外循環中のSosmは, 術前に比べ有意に上昇し, Uosmは有意に低下したが, 無血群と充填群の間には有意差は認められなかった. 4. 術後ICU入室時AaDo2は, 4群とも, 無血群と充填血群に間に有意差は認められなかった. 5. 挿管時間は, 体外循環時間2時間以内の3群では有意差は認められなかったが, 2時間以上2時間未満のD群において, 有意に充填血群の方が長かった. これは充填血群に重症例が多かったためと思われた. 以上, 体外循環時間3時間以内では, 無血対外循環と充填血対外循環において, 術後の腎機能及び呼吸機能に有意の差は認められなかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 無血体外循環, 充填血体外循環, 腎機能, 呼吸機能, 開心術
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