Abstract : |
プロスタグランディンI2誘導体(15-cyclopentyl-w-pentanol-5-E-Carbacyclin, OP-41483)は既に報告したプロスタグランディンI2に比べ投与法が簡単で末梢血管拡張作用が弱く, 血小板保護作用が強いと考えられた. そこでヘパリン3mg/kg投与下に1時間の実験的体外循環を行い, ヘパリンのみの対照群とOP-41483を5μg/kg/分投与した実験群において循環系及び血小板機能の比較検討を行った. 本剤投与により体外循環中全末梢血管抵抗は著明に低下し, 血圧は約40%低下した. 血小板数は両群とも体外循環中, 前値の63.5~52.1%と低下し両群間に差はみられなかった. 血小板凝集能は対照群では体外循環中変化しなかったが, 実験群では体外循環前値の30.0~45.4%と著明な抑制がみられた. 電顕像による血小板形態の検討では対照群は基本構造を失い外殻のみとなった血小板が多かったが, 実験群では偽足を伸ばし中間型を呈した血小板が多くみられた. OP-41483の循環系に対する作用はプロスタグランディンI2の約5分の1と考えられ, またプロスタグランディンI2と同じく循環系に対する作用は短く, 血小板凝集抑制作用時間は長いと考えられた. OP-41483はプロスタグランディンI2に比べ投与法が簡単で, 循環系に対する作用に比べ血小板機能及び形態保護作用が強く臨床応用可能であり, ヘパリン投与量を減じ得る可能性があると考えられた. |