アブストラクト(31巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 小児及び成人開心術におけるアイソザイム・CPK-MBの動向-各種心筋保護法の比較を中心として-
Subtitle :
Authors : 平山哲三, 高橋雅俊
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科学第2講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 6
Page : 915-924
Year/Month : 1983 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 各種の心筋保護法を行った小児と成人開心術において, 心筋由来の鋭敏な血清酵素であるアイソザイム・CPK-MBの動向を中心としてその心筋保護効果を検討し, 更にCPK-MBの変動をもたらす種々の因子について検討を加えた. 小児開心術では中等度低温法(MH群)と体外循環併用循環停止超低体温法(DH群)において心筋保護法としてSt.Thomas病院第2液あるいはカリウム加冷却希釈血液(冷却血液)を用い, 心局所冷却を併用した. 成人開心術では軽度低体温下にYoung液による心停止に続くGIK液の冠灌流(Young+GIK)あるいはSt.Thomas液のみによる心停止冠灌流を行い, 心局所冷却を併用した. CPK-MBの変動は, 小児開心術では大動脈遮断解除後2~4時間に, 成人開心術では6~8時間に ピークがあり, 小児例に著明な高値を認めた. また各症例の大動脈遮断時間とCPK-MBの最大値(max CPK-MB)の間には小児, 成人開心術ともに正の相関性が認められた. 小児開心術のDH群とMH群においてmax CPK-MBを比較すると, 前者に有意な高値が認められた. MH群の右室切開群と心房切開群におけるmax CPK-MBを比較すると, 前者に高値を示す傾向がみられた. 以上の成績より, 大動脈遮断時間の延長, 超低体温法, 右室切開はCPK-MBの上昇因子となり得ることが判った. 各種の心筋保護法についてmax CPK-MBを比較すると, 成人開心術ではYoung+GIK例とSt. thomas液例の間には有意差を認めなかったが, 小児開心術で冷却血液例とSt. Ttomas液例を比較すると, 心筋温が15℃前後の比較的高いレベルに保たれた場合は, 冷却血液例のmax CPK-MBは有意な高値を示さなかったことより, この心筋温度においてカリウム加冷却希釈血液により心筋保護は有利な方法と思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : CPK-MB, 大動脈遮断時間, 心筋保護法, 心筋温
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