アブストラクト(31巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 超低体温・低流量灌流法とバイパス併用超低体温法との比較 術後早期のCPK及びLDHアイソザイムの変動からみた検討
Subtitle :
Authors : 木谷正樹, 飯田茂穂, 佐藤日出夫, 能登佐
Authors(kana) :
Organization : 石川県立中央病院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 8
Page : 1202-1207
Year/Month : 1983 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 小児開心術の補助手段として従来用いられてきたバイパス併用超低体温法に代わる方法として最近低体温・低流量灌流法が提唱されている. そこで今回両者について心筋保護の観点から, 術後早期のCPK及びLDHアイソザイムの変動について検討した. 症例を大動脈遮断時間により次の四つに分類した. 第I群 超低体温・低流量灌流群. Ia: 大動脈遮断時間60分以内. Ib: 大動脈遮断時間60分以上, 第II群 バイパス併用超低体温群. IIa: 大動脈遮断時間60分以内, IIb: 大動脈遮断時間60分以上. 術直後から第7病日にかけてMB-CPK, LDH5分画, (LDH1+LDH2)分画の変動を中心に検討した. その結果, 1) MB-CPKは各群とも術直後より急増し, 3時間後にピークに達し以後急減した. MB-CPKのピーク値は150IU/L以下で大動脈遮断時間90分以内ならば各群とも心筋保護上問題はなかった. 2) LDHアイソザイム分析ではII: bを除くほかの3群では術直後よりLDH5分画が急増し3~6時間後にピークに達した後減少した. これに対して(LDH1+LDH2)分画は丁度正反対の減少を示した. 3) IIb群ではLDH5分画の増加は軽度で(LDH1+LDH2)分画の減少はみられなかった. これはLDH5分画と同時に心筋障害の示標とされる(LDH1+LDH2)分画も増加していることを示す. 以上の結果大動脈遮断時間が60分を越えるバイパス併用超低体温群では心筋保護上問題があるが, 超低体温・低流量灌流群においては大動脈遮断時間60~90分の範囲内では心筋保護上十分安全といえる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 超低体温・低流量灌流法, バイパス併用超低体温法, 心筋保護, MB-CPK, (LDH1+LDH2)分画
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