アブストラクト(31巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 乳幼児開心術における腎機能
Subtitle :
Authors : 池田光則, 木村茂
Authors(kana) :
Organization : 愛媛大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 8
Page : 1222-1236
Year/Month : 1983 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 先天性及び後天性心疾患々者58例の手術時の腎機能の推移を調べた. 開心術は47例で1歳未満群16例, 1~9歳群12例, 成人群19例であった. 1歳未満群を更に循環停止を伴った表面冷却併用超低体温法を用いたA群, 循環停止を伴わない低体温体外循環法を用いたB群に分け各群の比較検討を行った. 1. 表面冷却中1歳未満A群の尿量は増加, Uosm/Sosmは低下, CH2oは正の値をとり, 低体温の影響と考えられた. 2. 灌流中1歳未満両群では他群より尿量は少なく, CH2oは0に近い値をとり, 低灌流量による腎血流量の低下を思わせる所見であった. 3. 灌流開始後のFENaの上昇とUK/Naの低下, 灌流後のFENaのpeakとUK/Naの最低値は, ADHのNa利尿作用の影響と考えられた. 4. 灌流後1時間以内に各群とも尿排出のpeakを認めた. CH2oは灌流後2時間までは値のばらつきが大で0に近付いたり正の値をとった後, 負の値で絶対値が増大し6時間からほぼ安定した. Uosm/Sosmは1時間以内に最低値をとった後上昇した. 5. 1歳未満A群では, 腎機i能の各指標の灌流後の推移において回復傾向は遅延したがB群との有意差はなく, 循環停止にもかかわらず低体温により腎機能はかなり良く保存されたものと考えられた. 6. 非開心術においては, 腎機能は術中やや低下したが, 開心術におけるような著明な変化は認めなかった. 7. 急性腎不全は乳幼児3例に認めたがその原因は灌流後のLOSと長時間体外循環で, その腎機能の推移において最も早期に非腎不全例との差を認めたのはCH2oとUosm/Sosmであり, 早期診断の指標になり得ると考えられた. 8. Uosm/SosmとUosmは高い相関(r=0.987, p<0.005)を示し, Uosmのみによっても腎不全の早期診断はある程度可能であり, 特に乳幼児例において有用であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 表面冷却併用超低体温法, 尿浸透圧, 自由水クリアランス, 開心術後急性腎不全
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