アブストラクト(31巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の深部体温測定その臨床的意義の再検討
Subtitle :
Authors : 近江三喜男, 古川昭一, 壷井英敏, 倉田悟, 森文樹, 毛利平
Authors(kana) :
Organization : 山口大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 8
Page : 1263-1267
Year/Month : 1983 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 深部体温計は, 近年, 開心術後の患者管理に広く応用されている. 中枢と末梢の深部体温較差は, 末梢循環動態を反映するとされているが, 開心術後, 特に急性期には心機能を十分に反映してはいないようにも思える. 我々は, 体外循環を用いた開心術症例22例を対象とし, 体外循環終了後3, 6, 12, 24時間時に中枢一末梢深部体温較差(DBT-Diff.), 平均体血圧(BP), 心拍数(HR), 心係数(CI), 一回拍出量係数(SI), 左室一回仕事係数(LVSWI), 体血管抵抗係数(SVRI)を求め, それらの時間的推移を検討した. 更に, 低心拍出量症候群(LOS)との関係からCI, LVSWI, SVRIの大小とDBT-Diff. の関連を検討した. DBT-Diff. は3時間で3.6±1.6℃, 6時間で3.0±2.0℃であったが, 12時間で1.5±1.5℃, 24時間で2.3±1.4℃と3時間値に対し有意の減少を示した. また, 6時間と12時間の間でも有意の減少を示した. BPは3時間と6時間の間で有意に下降し, CI, SIは12時間以降に有意の増大を示した. HR, LVSWIは不変であった. SVRIは6時間, 12時間と減少し以後安定した. 一方, CI, LVSWIの大小によるDBT-Diff. の差は認められなかったが, 高体血管抵抗群と低体血管抵抗群でDBT-Diffが, それぞれ3.1±1.9℃, 1.7±1.3℃と有意差をみた. 体外循環後12時間までに起こるDBT-Diff. の減少は, 心機能及び末梢循環の改善を反映していると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : DBT-Diff., 心機能, 末梢循環, LOS
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