アブストラクト(31巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 盲貫銃創周辺より発生した肺扁平上皮癌の1手術例
Subtitle :
Authors : 半沢儁, 和田源司
Authors(kana) :
Organization : 県西部浜松医療センター胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 8
Page : 1325-1329
Year/Month : 1983 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺癌の発生について, 外来性の吸入物質と気道の接触による要因は従来注目されている. 広義の異物による気道組織への長期間にわたる刺激は, 肺癌発生の誘因となり得よう. 我々は, 36年間にわたる銃弾の肺内滞留の結果, その周辺組織より発生した, 肺扁平上皮癌の1手術例を経験したので報告する. 症例は60歳男性. 主訴は咳嗽と膿性痰である. 昭和20年1月, ルソン島にて右背部より盲貫銃創を負ったが, 自覚症無いため放置していた. 昭和56年1月より, 上記症状が出現し当院に入院した. 胸部X線写真上, 銃弾は右S6c末梢に在り, 内視鏡検査で, B6より, 膿性痰の湧出がみられ, 擦過細胞診により扁平上皮癌細胞が検出されたため, 肺化膿症に肺癌の合併が疑われ, 右下葉胸膜合併切除術が行われた. 組織学的には, 銃弾の存在した空洞壁に高分化扁平上皮癌が認められ, 基質結合組織には, 炭粉沈着を伴う高度の線維化が認められ, 瘢痕癌を示唆する所見であった. 本匠の銃弾の化学分析とともに, 肺内に滞留した銃弾ないし砲弾片により惹起されたと思われる肺癌例について, 若干の文献的考察を加え報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺内滞留銃弾, 扁平上皮癌, 肺瘢痕癌, 銃弾化学分析
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