アブストラクト(31巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 滑脱型食道裂孔ヘルニアに対するHill手術変法手術成績とその術中食道内圧測定の意義について
Subtitle :
Authors : 大熊利忠, 夏山秀康, 大塚憲雄, 佐田英信, 砥上幸一郎, 宮内好正
Authors(kana) :
Organization : 熊本大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 9
Page : 1357-1363
Year/Month : 1983 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1976年1月から1982年9月までに滑脱型食道裂孔ヘルニア27症例に対しHill手術変法を行い, うち 18例に対し術前, 術後に食道内圧検査(以下本法)にて食道下部昇圧帯圧(以下LESP)を測定し, 更に18例中14例には術中個々の手術操作ごとに本法を行いLESPを測定し, 術後の臨床所見と比較検討し, 術中本法が, 個々の手術操作のモニターとして有効か否かを検討した. 術中本法がなされなかった13例のうち3例に手術不成功例があり, 術後早期のX線及び内視鏡検査でヘルニア及び食道炎の改善がみられず術前とほとんど同様の所見を呈していた. 術中本法がなされた14例中2例に術後8カ月あるいは4年の時期にX線上逆流がみられたが, ヘルニアの再発はなくLESPは正常値を保ち食道炎もみられなかった. 術前のLESPは15.3±6.9cmH2Oであり, 退院時は24.7±11.9cmH2Oであった. 術後経過が順調な症例のうち遠隔時(3カ月から4年)に本法が測定された8例についてみると退院時のLESPは32.0±10.1cmH20であり, 遠隔時には31.5±1.5cmH2Oであった. これらの値は我々の正常人コントロール値31.3±5.7cmH2O(n=10)とほとんど同じ値であり, 遠隔時でもLESPには変化がないことが確認された. 術中本法において, 食道胃接合部(以下EGJ)を正中弓状靱帯に固定するとLESPは35.0±10.9cmH2Oと上昇し, 手術操作終了時では39.8±11.8cmH2O, 退院時では27.3±8.7cmH2Oの値を示した. 術中のこれら2つのLESPと退院時のLESPとは回帰直線にて各々p<0.01, p<0.02で有意の相関がみられた. 術中本法はLES機能修復手術の術中モニターとして有効であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 術中食道内圧測定法, 滑脱型食道裂孔ヘルニア, Hill手術変法, LES
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