アブストラクト(31巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 特発性自然気胸100手術症例の検討
Subtitle :
Authors : 長田博昭, 平泰彦, 横手薫美夫, 正木久朗, 荒瀬一己, 舟木成樹, 川田忠典, 稗方富蔵, 野口輝彦
Authors(kana) :
Organization : 聖マリアンナ医科大学第3外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 10
Page : 1519-1526
Year/Month : 1983 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 特発性自然気胸の治療はいまだ確定されていない. 我々は気胸の再発を完全に防止し, 患者に制限のない生活を保障する立場から, 積極的に手術を行ってきた. 今回手術治療100例を得て自験例を点検し我々の立場の妥当性を吟味するとともに, 本症における治療法の第一選択を確立すべく文献的考察を加えた. 自験は109手術118側で平均1.8回の発症をもって手術に及んだが, 初回発症で手術を施行したものが最も多かった. これには我々が, 患者に保存・手術両治療の各々を公平に説明した後患者の自発的手術希望がある時は例え初回発症でも適応に含めたことも関連する. 術式は腋窩開胸にて肺尖部などの嚢胞を含む肺部分切除に壁側胸膜切除を加えることを標準とした. 異時・同時両側気胸21例の一部には胸骨縦切開で一期的に手術した. 術後在院1日数は平均14.4日で, 合併症として術後血胸での再開1胸1例を経験したほか, 壁側胸膜切除非施行例の内2例に術後気胸再発を見た. アンケート調査を含め, 術後生活状況を検討したがおおむね満足すべきものと思われた. 一般に保存療法では入院が長期化し, 40%程度もの再発があり, 特に若年男子の実生活上不都合が多い. 手術療法では壁側胸膜部分切除を併施すると再発は皆無となるようで, 2週間以下の入院で臨床的根治を期待でき, 手術合併症に重大なものはない. 両側例では胸骨縦切による一期手術が安全且つ容易である, 症例によって非発症側への予防的処置をも考慮して良い. 一般に本症には初回から手術療法を第一選択とするのが現時点では妥当と思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 自然気胸, 特発性自然気胸, 壁側胸膜部分切除, 胸骨正中切開
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