アブストラクト(31巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : calcific aortic stenosisに対する外科治療
Subtitle :
Authors : 志田力, 橘史朗, 宮下勝, 西山範正, 麻田達郎, 太田稔明, 鶴田宏明, 久野克也, 山下長司郎, 安岡俊介, 岡田昌義, 中村和夫
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 10
Page : 1601-1606
Year/Month : 1983 / 10
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 著明な石灰化を伴うaortic stenosisに対する手術報告例は, 本邦では今なお比較的少ない. 教室における手術例は, 男性5例, 女性3例計8例で, いずれも最近の3年間に手術が行われたものである. 手術時平均年齢は57歳であった. 左室大動脈間圧較差は最少57mmHgから最大200mmHg, 平均110mmHgであり, 心電図上, 著明な左室ストレインを伴う肥大所見を呈した. また, 胸部単純写真にて, 全例に大動脈弁部に著明な石灰沈着像が認められた. 病因は先天性二尖弁の石灰化が5例, リウマチ性弁狭窄が3例であった. 手術時に計測した弁口面積は0.03cm2から0.8cm2であり, ほとんどの例で弁輪部にまで石灰化が及んでいた. 大動脈弁の摘出に際しては, 石灰片を破砕したのち, 1片ずつ摘出することが必要であったが, 先天性ASと異なり, 弁輪そのものは比較的大きいので, 血行動態的に満足し得る大きさの弁を移植し得た. 手術に際しての問題点として, 術前起座呼吸状態にあり, 左室大動脈間圧較差200mmHgであった最重症の1例で, 体外循環離脱時にIABPを必要としたこと, また2例に, 術直後より心電図上CLBBBが出現したが, ともに術後1カ月前後で正常伝導に回復したことであろう. 手術死亡はなかったが, 術後2カ月目に頭蓋内出血で1例を失った. しかし残りの7例については回復が良好で, 全例元気に日常生活に復帰している. 石灰化を伴う極めて高度の大動脈弁狭窄症であっても, 手術成績は良好で術後運動能力の回復も優れているので, 積極的に手術を実施すべきものと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Calcific aortic stenosis, 大動脈二尖弁症, 大動脈弁置換術, 左脚ブロック
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