アブストラクト(31巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心筋保護における再灌流液アルブミン濃度の影響について
Subtitle :
Authors : 入沢敬夫1), 青山克彦1), 星永進1), 西村和典1), 今井高二1), Kenneth Rietfors2), 若林明夫2)
Authors(kana) :
Organization : 1)山形大学医学部第2外科, 2)California大学(Irvine校)医学部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 11
Page : 1993-1999
Year/Month : 1983 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 虚血時に発生する心筋障害は細胞の浮腫を惹起するので, 開心術の心筋保護における心筋浮腫の防止は重要である. 著者らは虚血後の再灌流の観点から, 細胞の浮腫を抑制する作用がある膠質浸透圧が心臓に及ぼす影響について実験的研究を行った. 実験は家兎(32頭)の摘出心臓を酸素化希釈血液で灌流する装置を用い, 30分間の常温下虚血後に各種アルブミン濃度で再灌流を行った. 高度の低アルブミン濃度(0.13±0.07g/dl)での再灌流では明らかな心筋浮腫, 高度の冠動脈血管抵抗の低下が認められたが, 心収縮は良好に保たれた. アルブミン濃度1.7±0.1g/dlでの再灌流では心臓への影響が最も少なく, 心収縮は良好であった. 人アルブミン製剤を添加して, 正常(3.7±0.4g/dl)ないしそれ以上(5.2±0.1g/dl)のアルブミン濃度としての再灌流では心筋浮腫は軽減せず, 高度の低アルブミン濃度の場合と同等であった. 冠動脈血管抵抗は軽度に低下した. 左室心筋の出血は軽度にとどまったが, 心収縮はその濃度に比例して著明に低下することが推測された. 以上の結果から, 虚血後の再灌ぐ流のアルブミン濃度は正常の1/2程度が適当であり, アルブミンを添加して, その濃度を上昇させても有効性は認められず, むしろ有害作用をもたらし得る可能性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 再灌流液, アルブミン濃度, 心収縮, 冠動脈血管抵抗, 心筋浮腫
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