アブストラクト(31巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 幼小児の肺・肋膜感染症の外科治療
Subtitle :
Authors : 野々山明, 田中一穂, 大迫努, 福中道男, 佐藤正, 斉藤幸人, 辰巳明利, 大本一夫, 増田与, 小谷澄夫, 香川輝正
Authors(kana) :
Organization : 関西医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 11
Page : 2000-2007
Year/Month : 1983 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和36年1月より57年12月までの22年間に, 私達が取り扱った10歳以下の幼小児の非結核性の膿胸及び肺膿瘍で, 外科治療を必要としたものは, 膿胸79例及び肺膿瘍10例の計89例で, このうち膿胸79例中51例, 肺膿瘍10例中3例の計54例が1歳未満であった. 膿胸, 肺膿瘍とも昭和36年ごろからその数が増していたのが, 昭和47年以降漸次減少し, 昭和50~52年にはほとんど見られなくなっていたが, 昭和53年以後に再出現する傾向がみられた. 膿胸例の治療としては, 初期の7例を除いた全例に早期から閉鎖性チューブ・ドレナージによる持続吸引を行うようにしているが, 昭和37年5月以降の1歳未満の46例は, この方法で全例治癒し, 慢性化することはなかった. 1歳以上の28例では4例(14.3%)がドレナージにもかかわらず慢性型に移行して肺剥皮術を要した. この4例の発症より手術までの期間は32~50日(平坪39.5日)で, いずれも胸壁変形を伴っていたが, 術後経過は良好で変形も自然消退した. この4例は昭和47年までの症例であった. 肺膿瘍10例の治療としては, 慢性型と判断した1例を除いた9例にまず膿瘍腔又は膿胸腔の閉鎖性チューブ・ドレナージによる持続吸引を行った. 吸引療法にて1例, 膿瘍腔の消失と周囲浸潤の消退をみ, 治癒退院させたが, ほかの8例では, 膿瘍腔の消失をみなかったり, 肺の膨張不良で胸郭の萎縮傾向をみるようになったため慢性型の1例を含めて9例には肺葉切除を行った. このうちの3例には同時に肺剥皮術が行われた. 10例の治療成績は良好で, 早期合併症も晩期合併症もなく, 術後20年8カ月より術後2カ月(平均10年10カ月)の現在, 全例元気で正常に発育している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 感染症, 膿胸, 肺膿瘍, 肺嚢胞, 小児
このページの一番上へ