Abstract : |
肺内水分量を知る方法として, X線診断法, 二重指示薬希釈法, 直接法, インピーダンスニューモグラフィーなどがあるが, いずれも一長一短があり, 確実な方法はない. インピーダンスニューモグラフィーは, 胸壁成分である皮膚・筋肉・骨などの関与が大きく, 肺内水分量の変化に対する感度が小さいことが, 大きな欠点とされていた. 我々は, 肺動脈内に挿入したカテーテル電極を使用してインピーダンスを測定する方法を考案し, 肺内水分量の変化を追究した. 実験的にオレイン酸肺水腫を作製し, そのインピーダンス変化を測定, 従来の方法によるインピーダンス変化と比較し, 同時に直接法・二重指示薬希釈法による肺内水分量測定を行い, 次の結果を得た. 1. 肺水腫により, 基底インピーダンス(Zo)は従来の方法では約10%変化したのに対し, カテーテル電極使用では約23%の変化を示し, 有意の差(p<0.001)があり, しかも肺水腫の初期から計測可能であった. 2. 直接法, 二重指示薬希釈法による肺内水分量の変化と, インピーダンス(Zo)の変化は有意の相関性を示した(p<0.01). 肺動脈内カテーテル電極を使用したインピーダンスニューモグラフィーは, 新しい試みで, 肺内水分量の変化を追跡するのに有用であり, 今後, 換気量・脈波の測定にも応用できるものと思われる. |