Authors : |
大野喜代志, 藤本祐三郎, 池田正人, 前田元, 多田弘人, 三好新一郎, 北川陽一郎, 藤井義敬, 南城悟, 中原数也, 門田康正, 川島康生 |
Abstract : |
昭和35年以来, 昭和57年10月まで, 阪大第1外科で経験した40歳以上の自然気胸症例34例を, 同期間の40歳未満症例95例と比較検討した. 40歳以上の自然気胸の53%が, 続発性自然気胸であった. 40歳未満群と比べ, 有意(p<0.001)に多かった. COPDと悪性腫瘍が主な基礎疾患であった. 40歳以上では, 胸痛を主訴とする症例が, 有意(p<0.001)に少なかった(59%). また, 肺の完全虚脱を生じた症例は有意(p<0.05)に少なかった(18%)にもかかわらず, 呼吸困難を訴える症例が多かった(32%). 特にCOPDでは, 肺虚脱が軽度であったにもかかわらず, SaO2の低下は著明であった. 胸腔ドレナージ施行症例12例中6例(50%)に空気漏洩の遷延がみられ, 開胸術をうけた. 40歳未満群と比較して有意(p<0.01)に多かった. 一方, 胸腔ドレナージ成功例のドレーン留置期間は12±5日で, 40歳未満群と比較して有意(p<0.02)に長かった. 術後合併症と死亡率は, 40歳未満群でともになく, 40歳以上群では, それぞれ20%と6%であった. 以上から, 中高年齢者の自然気胸では, 肺虚脱度が軽度でも, 胸腔ドレナージを第一選択とし, また, その期間を2週間までとし, 空気漏洩部が閉鎖せぬ時は, 積極的に開胸術を考慮すべきである. |