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高頻度呼吸法(high frequency ventilation, HFV)は肺のガス交換に換気運動が不用なので, 胸腔内手術の呼吸管理に使用し, 手術操作の平易化を期待した. HFVを胸腔内手術に使用し, 手術操作の平易化とガス交換能を検索した研究は今までにない. HFVを胸腔内手術に使用すれば肺の換気運動は消失し, 手術操作は容易になると期待したところ, HFVの条件によっては換気運動の消失のみならず, 肺容積の減少も手術操作を容易にすることが判明した. 対象は肺癌患者で駆動(呼吸)回数3Hz(180回/分), 駆動圧0.5kg/cm2のHFVのみを使用したHFV alone群が6例, 駆動回数6Hz, 駆動圧0.5kg/cm2のHFVを従来の呼吸法の死腔に等しい量の換気に上乗させたHFV on VD群が6例及び通常の呼吸法(間歇的陽圧呼吸法, IPPV)(対照群)が4例である. IPPVの換気量は10ml/kg×12-13回/分とした. 手術術式は1例の肺全摘出術を除いて肺葉切除術である. 結果は次のごとくである. 1)HFVにより換気運動は消失し, 3Hzでは肺は振動するのみとなり, 手術操作は容易になった. 6Hzでは振動も小さくなり, ほとんど静止の状態に近づいた. 2)肺容積も減少し, 肺・胸壁間に空隙が生じ, 横隔膜も露出した. 3)従って, 肺を術野から排除する労力が不要又は軽減した. 4)HFVの酸素交換能に群間の有意差はなかった. 5)炭酸ガス排泄能はHFV on VD群が劣っており, HFV alone群が正常値に最も近く, 対照群は排泄過多であった. 6)HFV on VD群のpHは低く, HFV alone群と対照群は正常値に近く, 優劣は決め難かった. 以上より, HFVでは肺の換気運動消失と容積減少のため手術操作は容易となった. HFV alone群のガス交換能は対照群と差はなかった. 3Hz, 0.5kg/cm2のjet式HFVは手術操作を容易にし, ガス交換能は従来の方法と差がないと結論した. |
