アブストラクト(32巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 経食道超音波高速度断層法による心房二次中隔欠損症の診断
Subtitle :
Authors : 伊佐治文朗
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 1
Page : 37-49
Year/Month : 1984 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 超音波の心臓医学への導入以来, その発展は目覚ましく, 先天性・後天性心疾患における超音波診断の有用性は明白である. しかし, 胸壁外からのアプローチでは十分な診断が得られない場合があるため, 心臓に隣接し障害物のほとんどない食道からの観測が有用と考え, 開心術を施行した心房二次中隔欠損症(ASD(II))の21例に経食道超音波高速度断層法を術前・術後に行った. 観測された水平心断層像から以下の結果を得た. (1)術前にASD(II)の欠損口を, 術後にその閉鎖を全例に観測し, 偽陽性・偽陰性はなかった. (2)ASD(II)の欠損口の位置・・・水平心断層像の観測を4つのレベルに分け, 各々のレベルでの心房中隔(IAS)のエコー欠損の有無を術前に観測し, Bedford分類による術中の欠損口の位置と比較検討した. 水平心断層像によるIASのエコー欠損を, 大動脈弁レベル(AO-level)で観測した場合はsuperior caval defect, 心尖部レベル(APEX-lebel)で観測した場合はinferior caval defect, 左室流出路レベル(LVOF-level)and/or房室弁レベル(AV valve-level)で観測した場合はcentral fossa ovalis defectであった. (3)ASD(II)の欠損口経・・・本法による術前の欠損口の観測値(水平心断層像における最大径:X)と術中の欠損口の実測値(長径:Y)との間には, r=0.93でY=0.67X+0.34の相関を得た. (4)根治術後の観測で, 心房中隔欠損口の直接縫合とパッチ閉鎖の識別が可能であった. 以上から, 経食道超音波高速度断層法は, ASD(II)における術前の診断と術後の評価について有用であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 経食道超音波高速度断層法, 心房二次中隔欠損症(ASD(II)), ASD(II)の欠損口の位置, ASD(II)の欠損口径, 水平心断層像
このページの一番上へ