| Authors ： |
関洲二, 高橋俊二郎**, 金子博賢**, 山本満雄**, 多胡護*, 谷崎眞行***, 中川準平**, 石合省三**, 寺本滋* |
| Abstract ： |
僧帽弁狭窄症患者を対象とし, 弁口開大後の弁口面積により, S群(弁口面積：2.7cm2以下)(8人), M群(2.8～2.9cm2)(7人), L群(3.0cm2以上)(8人)の3群に分けた. 9人には弁置換を行い, P群とした. S群は交連切開術のみ, L群には乳頭筋切開術, 腱索切開術も加えている. M群には両者が混在している. なお, 術前の心機能は各群間に差はない. 術後心機能は術後8時間内で測定された最小及び最大心係数時の心機能と平均心機能を比較し, 以下の結果を得た. 1)心機能の相違は最小心係数時の心機能が最も顕著であった. 最大心係数時の心機能と平均心機能では群間の相違は減少した. 2)術後の体血圧はL群が最も低く, M群とP群に対し, 有意の低下であった. 罹患僧帽弁の病態の重症度がL群の前後にあると思われるM群とP群より低かった. 3)心拍数はL群が最も多く, 次いでS群であった. 4)心係数には差がなかった. 5)L群の拍出係数は最小心係数時にはM群とP群より小さかった. 6)左室分時仕事係数も最小心係数時にL群はM群より小さかった. 7)左室一回拍出仕事係数はL群がM群やP群より小さかった. 8)Rate pressure product(RPP)には有意差はなかった. 以上より次の結論を得た. 1)罹患弁の重症度がL群の前後にあるM群やP群の心機能がL群より良好である. 2)この結果は狭窄弁口の開大には限度があり, 限度を越えた弁口開大は心機能の低下をもたらす, 3)従って, 乳頭筋切開術や腱索切開術を含めた直視下交連切開術には心機能の回復又は温存の点から限度がある. 4)また, 弁口開大不十分も心機能の回復は良好でないこと, 5)限度を越えた弁口開大より, 弁置換が良好な心機能を得ること, 以上の結論を得た. |
