アブストラクト(32巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺全摘術後の換気機能障害とその対策-SF6ガスの応用-
Subtitle :
Authors : 原田邦彦, 島田良昭, 浜口伸正, 佐尾山信夫, 南本智史, 畠山茂毅, 六田暉朗, 井上権治
Authors(kana) :
Organization : 徳島大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 1
Page : 67-75
Year/Month : 1984 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1側肺全摘術は, 比較的高年齢の肺癌例にとっては, 機能損失が大きく, 術後のperformance statusに大きい影響を与える. 術後胸腔の陰圧高度化, 縦隔変位による対側肺過膨脹の肺機能の障害性については多くの報告があるが, その評価は一定せず, それに対する改善策もなされていないのが現状と言える. 著者らは, 全摘後胸膜腔にSF6ガスを注気して, 内腔を維持し, 対側面面膨脹を防止する方法を実施している. その過程で, ガスが減少し, 縦隔変位が起こっている時期とガス注気後, 対側肺過膨脹が是正された時期との換気機能を測定することによって, 肺過膨脹時にはFRCやRVなどの肺気量が10~20%, 増加しているのみならず, 肺活量も10~20%減少しており, 縦隔変位とともに対側肺は陰圧腔に牽引固定され, 縦隔側に接する肺に拘束性換気障害が生じていることを思わせた. VCの変化に応じ, 1秒量, 分時最大換気量なども注気後には10~20%増加し, 更に, 階段昇降による運動負荷試験を注気前後で行った結果でも, 注気前には脈搏, 換気量多く, 酸素当量は著増し, 明らかに呼吸循環機能の低下が認められ, 自覚症状, 負荷試験完遂能力ともに明らかな差異が認められた. すなわち, 肺全摘術後は大幅の肺機能低下状態にあるために, 術後胸腔の変化による換気障害の上積みは大きい影響をもち, 特に高齢者にはperformance statusを左右する障害因子であること, 及びこれを是正する必要性があることが判明した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縦隔変位, 対側肺過膨脹, SF6, 胸腔調整, 拘束性換気障害, performance status
このページの一番上へ