アブストラクト(32巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : CastingモデルによるSequential吻合法の検討
Subtitle :
Authors : 塩井健介
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 2
Page : 194-208
Year/Month : 1984 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠動脈多枝病変に対する血行再建術としてsequential A-C バイパス術の行われる機会が多くなっている. 今回castingモデルにて吻合部の内部形態をグラフト血管, 吻合方法, 縫合方法の面から実験的に検討した. 豚摘出心80個の主要冠動脈240ヵ所に成犬総頸動脈90本, 同外頸静脈50本, ヒト大伏在静脈100本をグラフトとして吻合した. 吻合方法は血管交叉型交叉吻合(一般的には, diamond型吻合, 以下CC吻合), 血管平行型平行吻合(一般的には側々吻合, 以下PP吻合), 血管交叉型平行吻合(一般的には交叉吻合, 以下CP吻合)を用い, 縫合方法は結節縫合, 連続縫合, 連続マットレス縫合によった. 作成したcastingモデルの計測から吻合面積比(=吻合部面積/冠動脈断面積)及び冠動脈切開比(=冠動脈切開長/冠動脈内径)を計算するとともに吻合部狭窄を3段階に分け, その発生頻度を検討した. 吻合面積比と冠動脈切開比の相関性は動脈グラフト, 大伏在静脈グラフト(r=0.89, r=0.82)で良く, 静脈グラフト(r=0.73)はややばらつきがあった. 吻合面積から吻合方法を比較するとCC吻合, PP吻合, CP吻合の順に血管切開に対する吻合面積が大きく, また縫合方法では結節縫合, 連続縫合, 連続マットレス縫合の順に吻合面積が大きかった. 吻合部狭窄の発生頻度はグラフト血管により異なり, 静脈, 大伏在静脈, 動脈の順に高率であった. また血管切開の長さが6~10mmの範囲では狭窄の頻度は低かった. 吻合方法を狭窄の発生頻度から比較するとCP吻合法が高率であり, 縫合方法では連続マットレス縫合の狭窄発生頻度が高かった. 以上の結果よりsequential A-C・バイパスにおいては結節縫合による血管交叉型交叉吻合法が好ましい吻合法と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : A-Cバイパス, Sequential吻合, Castingモデル, 吻合部狭窄
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