アブストラクト(32巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心筋保護液組成の冠動脈に及ぼす影響に関する基礎的研究
Subtitle : 原著
Authors : 鹿野和久, 那須通寛, 宮村一男, 坂井隆, 庄村赤裸, 草川実, 日高弘義*
Authors(kana) :
Organization : 三重大学医学部胸部外科, *三重大学医学部薬理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 3
Page : 294-300
Year/Month : 1984 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心筋保護液の作用についての検討は心筋については多くなされているが, 心筋保護液の通過する冠血管については報告が少ない. そこで今回, イヌ摘出冠動脈標本を用い各種心筋保護液及びそれらの組成成分の冠動脈に対する反応性を検討することにより, 心筋保護液中のイナン, 薬剤の意義及び至適濃度につき検討した. 1. GK液はその中に含まれる高濃度のカリウムにより冠動脈に対し強い収縮反応を惹起した. 2. この収縮反応は16℃以下の低温及びマグネシウム, ベラパミル, ナトリウムにより抑制された. 3. そこでGK液中にあらかじめ冠動脈をほぼ完全に弛緩させる濃度のマグネシウム, ベラパミルを加えたところ, 冠動脈の収縮は惹起されなかった. 4. Young氏液は冠動脈に対しては軽度の一過性の収縮を惹起するのみであった. このメカニズムとしてはYoung氏液が大量のマグネシウムを含み且つカルシウムを含まないことが考えられた. 5. 以上より心筋保護液中への冠血管拡張作用を有するマグネシウム, ベラパミル及びナトリウムの添加の有用性が示唆され, それらの至適濃度はマグネシウム20~30mEq/L, ベラパミル2mg/L, ナトリウム60~90mEq/Lであると考えられた. 6. 更に心筋保護液灌流に先行したYoung氏液の併用の有用性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋保護, 摘出冠動脈標本, Young氏液, マグネシウム, ベラパミル
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