アブストラクト(32巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弓離断症の外科治療 特に術後合併症と死因の検討
Subtitle : 原著
Authors : 石原茂樹, 今井康晴, 高梨吉則, 中沢誠*, 高尾篤良*
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学心研外科, *東京女子医科大学心研小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 3
Page : 315-323
Year/Month : 1984 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心研外科では1968年から1981年3月までの間に大動脈弓離断症25例の外科治療を経験し, 7例の根治手術成功例を得ている. このうち, 手術時年齢が3ヵ月以下の症例は2例と年少例における成績は不良であった. そこで, 今回は25例の術後経過を特にICU滞在日数, 術後合併症及び死因の面から検討し, 外科治療上の問題点を明らかにすることを試みた. ICU滞在を必要とした症例は術中死の5例を除き20例で, 生存例のICU滞在日数は一期的手術例で短く, 二期的手術例では長期を要した. 死亡例のうち術後2日以内の死亡は6例, 術後5日以後の死亡は7例であり1例は183日の長期管理後に死亡した. 術後合併症は心不全75%, 呼吸不全65%と高率に発生し, 腎不全20%, 脳障害15%, 溶血尿20%, 感染35%の発生頻度であった. 特に3ヵ月以下に合併症が多く発生し心不全100%, 呼吸不全82%, 腎不全27%, 脳障害27%, 溶血尿27%, 感染54%を示した. 死因は, 術中死亡・術後早期死亡例では心不全によるものが多く, 長期管理後に死亡した例では遷延する心肺不全に溶血尿及び感染を併発した例が多く認められた. 以上の結果は本症の外科治療上特に心不全対策が重要であることを示しており, 著者らは心不全発生に関与する因子を, (1)発症病型及び施行し得る外科手技の選択のように解剖学的特徴により規定されるものと, (2)術前管理, 術中の補助手段, 術後管理のように治療レベルにより規定されるものとに分けた. 最近では後者の治療レベルの向上が目覚ましいが, 更に成績向上への努力が必要と考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弓離断症, 根治手術成功例, 術後合併症, 死因, ICU滞在日数
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