アブストラクト(32巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症根治術後急性期血行動態に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 大竹重彰
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 3
Page : 324-337
Year/Month : 1984 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 現在教室で施行している新しい術式下でのファロー四徴症(TF)根治術例22例を, 体外循環(ECC)直後の右室左室収縮期圧比(RV/LV比)と心係数(CI)により, I群(RV/LV比<0.70, CI≧4.00l/min/m2, n=11), II群(RV/LV比≧0.70, CI≧4.00l/min/m2, n=6), III群(RV/LV比≧0.70, CI<4.00l/min/m2, n=5)に分けて術後急性期血行動態の分析を行い, 以下の結果を得た. 1. I群のECC直後のRV/LV比は0.33~0.69(0.55±0.11)(mean±S.D.)で, II, III群に比し有意(p<0.001, p<0.001)に低く, CIの有意(p<0.005)な減少に伴って閉胸直前には0.23~0.54(0.37±0.11)へと更に有意(p<0.01)に低下した. この間, 右室肺動脈収縮期圧差(RVs-PAs), stenotic index(StI), 肺動脈平均圧(PAm), 肺血管抵抗(PVR)は有意の変化はなかった. 2. II群のECC直後のRV/LV比は0.71~0.94(0.82±0.11)と高値であったが, CIの有意(p<0.05)な減少に伴って閉胸直前には0.45~0.76(0.57±0.11)へと有意(p<0.005)に低下した. この間RVs-PAs, StI, PVRは有意の変動はなかった. 3. III群のECC直後のRV/LV比は0.72~0.92(0.82±0.09)と高値であったが, CIの有意な変動なしに閉胸直前には0.44~0.69(0.61±0.10)へと有意(p<0.05)に低下した. この間, RVs-PAs, StIは有意(p<0.005, p<0.05)に低下したが, PVRには有意の変動はなかった. 4. すなわちRV/LV比の低下の原因として, I, II群のECC直後の高心拍出量状態とそれに続く心拍出量の減少によるものと, III群での右室流出路漏斗部狭窄の時間的経過に伴う解除によるものとの, 2つの異なるメカニズムが存在した. 5. PVRはII群は終始I, III群よりも有意に高く, 一方I, III群間に有意差はなかった. また術後のイソプロテレノール最大投与量, 総投与量ともII群がI, III群に比し有意に多かった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 術後急性期血行動態, RV/LV比, 右室流出路狭窄, 肺血管抵抗
このページの一番上へ