アブストラクト(32巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 漏斗胸手術にて, 矯正再建された胸骨の骨・骨髄機能の評価
Subtitle : 原著
Authors : 渡辺洋宇, 麻柄達夫, 小林弘明, 市橋匠, 疋島寛, 大池恵広, 岩喬, 利波紀久*, 油野民雄*
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科, *金沢大学医学部核医学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 3
Page : 349-355
Year/Month : 1984 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 漏斗胸手術により矯正再建された胸骨の機能的評価を行う目的で, 骨及び骨髄スキャンを行い比較した. 挙上法, 遊離胸骨翻転術及び有茎胸骨翻転術の三術式の施行後, 近接期(術後30日以内), 中間期(1ヵ月以降, 1年未満), 及び遠隔期(1年以降)において, 99mTc-MDPによる骨スキャン, 及び99mTc-2S7colloidによる骨髄スキャンを施行した. 挙上法施行例で遠隔期に施行した6例の骨スキャン及び3例の骨髄スキャンはいずれも良好な胸骨像を描出した. この術式では, 内野動脈, 肋間動脈とも全く損傷されず, 再建胸壁への血流は完全に温存されるためと考えられる. 遊離胸骨翻転術を施行した症例の遠隔期に施行した26例の骨スキャンでは, 23例は正常像を示したが, 3例(11.5%)に異常所見をみた. 骨髄スキャンでは, 27例中, 18例が正常像であったが, 9例(33.3%)は異常所見を示した. 有茎胸骨翻転術施行例の近接期に施行した骨スキャンの24例では12例(50%)に異常所見をみ, また, 骨スキャン施行の7例では近接期に正常像を示したものは1例のみであり, 残る6例(85.7%)は異常所見を示した. しかし, 無茎胸骨翻転術の場合と異なり, 遠隔期での検討では, 施行した骨スキャンの6例及び骨髄スキャンの6例とも, いずれも正常像を示した. 近接期と遠隔期の成績の差を中間期施行例で検討してみると, 骨スキャンでは6ヵ月, 骨髄スキャンでは1年でほぼ全例が正常化することがわかった. 以上より, 成人では挙上法, 小児では有茎胸骨翻転術を用いることにより, 遠隔期における骨, 骨髄機能の障害を防止し得ると結論される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 漏斗胸手術, 再建胸壁, 骨スキャン, 骨髄スキャン, 有茎胸骨翻転術
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