Title : |
左房内血栓症の1手術治験例(AT III異常症の体外循環例) |
Subtitle : |
症例 |
Authors : |
高山鉄郎, 進藤剛毅, 名川弘一, 水野明, 浅野献一 |
Authors(kana) : |
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Organization : |
東京大学医学部胸部外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
32 |
Number : |
3 |
Page : |
367-372 |
Year/Month : |
1984 / 3 |
Article : |
報告 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
発熱, 胸痛, 血痰と肺血流シンチグラムで多数の陰影欠損, 心エコー法にて左房内腫瘤を認めた42歳女性に対する心腔内腫瘍と肺塞栓症の疑いによる開心術において, 体外循環前に必要な抗凝固作用を得るのに7mg/kgのヘパリン投与を必要とした. 手術時心腔内に腫瘍はなく左房及び右外腸骨静脈に血栓を認め摘出した. 本症例のAT IIIはヘパリンに対する反応性が著しく低下しており, これによる全身の凝固性亢進, 左房及び右外腸骨静脈血栓, 肺塞栓症と考えられた. 体外循環におけるAT IIIの異常はまれだが, 重篤な合併症を起こす危険があり日常の術前凝固検査ではcheckされない. よって体外循環に際してヘパリン投与後に必ず抗凝固性を確認する必要がある. AT III異常が疑われるときは新鮮血や新鮮凍血血漿を用いて正常AT IIIの補給とヘパリン追加投与により十分な抗凝固性を得られるようにする必要がある. AT III異常例の開心術は文献上他に1例をみるのみであり報告した. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
左房内血栓, 体外循環, 抗凝固作用, ヘパリン, Antithrombin III |