Authors : |
小机敏昭, 久米弘洋, 松井道彦, 堀越茂樹, 丸山浩一, 鈴木茂, 杉田洋一, 佐々木達海, 中野雅道, 宮沢総介, 益子健男, 橋本和弘, 古川仁, 森田紀代造, 金子俊昌, 新井達太 |
Abstract : |
術後ICU入室時から48時間後まで, 経時的に熱希釈法により心拍出量を測定し得た人工弁置換術後患者63例を対象とし, 手術術式別(AVR 16例, MVR 25例, AVR兼OMC 11例, AVR兼MVR 11例)・使用人工弁別(AVR:BS 12・SJM 4, MVR:BS 6・SJM 5・IS 14, AVR兼OMC:BS 8・SJM 3, AVR兼MVR:BS+BS(SJM+SJM)4・BS+IS 7), 更にAVR群(AR 12, ASR・AS 4)・MVR群(MR 10, MS 9, MSR 6)については原疾患別に心係数(CI)の変動を比較し, 術後早期の血行動態の差異を検討, 次に各術式別に各症例をそのCIの経過から低心係数群と高心係数群に分け, 術後の低心拍出量状態を予測する因子を求めた. その結果, (イ)原疾患別では, ARよりもASR・AS, MSよりもMRが良好な術後経過を呈した. (2)術式別では, AVR群がCI 3.0L/min/m2前後で術後早期の経過は最も良好で安定しており, MVR群との間にp<0.3からp<0.01の有意差が各測定時間でみられた. (3)使用人工弁別の検討では, AVR群では, BS弁, MVR群ではIS弁で良好な経過を呈し, 人工弁の種類でも血行動態に差がみられた. しかし, AVR兼OMC群, AVR兼MVR群では人工弁の種類による大きな差はみられなかった. (4)大動脈弁膜症と僧帽弁膜症の術後経過の違い, すなわちAVR群とMVR群の術後血行動態の差異を術前諸因子から検討したところ, CTR・肺動脈収縮期圧・楔入部平均圧・左室駆出率において, いずれもp<0.005以下の有意差をもってMVR群が重症であることを示した. (5)術後の低心拍出量を予測する因子として, AVR群・MVR群では術前のCI(2.11+0.25;2.30±0.13L/min/m2以下), AVR兼MVR群では術前楔入部平均圧(39.6±2.3mmHg以上)・術前肺動脈収縮期圧(57.7±3.9mmHg以上)が挙げられた. |