アブストラクト(32巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 末梢肺動脈発育度からみたファロー四徴症外科治療の検討
Subtitle : 原著
Authors : 赤坂忠義
Authors(kana) :
Organization : 帝京大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 4
Page : 460-471
Year/Month : 1984 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去5年間の外科治療の対象としたファロー四徴症129例について, 末梢肺動脈の発育度を定量化してみることにより, 各種手術前後での値とその変化, 根治手術後のRV/LV値との関係などをretrospectiveに検討し, 今後の外科治療の成績向上への一指針たらんとした. 末梢肺動脈発育度はシネアンギオグラムで左右肺動脈の第一分枝部の最大内径値の和を, 下行大動脈, 横隔膜レベルでの最大内径値で除した値を求め, これを肺動脈指数として表示した. 根治手術では, I期, II期を併せ, 術前指数(x)2.02±0.32から術後指数(y)2.35±0.32と16.3%の増加をみ, これはy=1.11±0.65xの一次式に回帰した. このうちI期手術後は17.2%の, II期手術後は11.3%の, 増加を示した. 死亡例9例の術前指数は1.95±0.40と若干低値を示したが, 有意差はなく, むしろ症例ごとにその死因を指摘し得るものが多かった. 短絡手術では, 術前1.50±0.40, 術後1.81±0.61を示したが, ACG上の肺動脈所見のみから, 短絡が適応と判断したものに限定すると, 術前指数1.30±0.28であった. 短絡手術後の, II期的根治例では, その術前指数2.01±0.31であったが, II期的姑息手術例では, 1.12±0.30で, 初回短絡手術時よりも更に低値を示し, 初回短絡手術の持つ外科的意義は極めて大きい. パッチング手術では, 術前1.28±0.38から, 術後2.07±0.35と増加し, 肺動脈の発育は良好であるが, 術後の問題点もあり, その適応は厳密にすべきものと考える. 根治手術後の検査で, 左右肺動脈の分岐部から第一分岐部までの最狭窄部で求めた指数(x)と, その時のRV/LV値(y)の間にはy=1.08e-0.29Xの逆指数関数関係式が得られた. この式と, 根治手術前後の指数増加度を示す一次式と併せ, 術後RV/LV値に応じた術前指数が求め得る. もしRV/LVの許容上限値を0.6とすると, その時の術前指数は1.40以上であれば良い. これまでの経験から, 術前指数1.2~1.4が, 安全な根治手術適応の一指標となり得るものと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症根治手術, ファロー四徴症姑息手術, 末梢肺動脈指数, 術後心カテーテル時RV/LV値
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