アブストラクト(32巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : III期肺癌への外科治療に関する1考察
Subtitle : 原著
Authors : 山本光伸, 西村仁志
Authors(kana) :
Organization : 埼玉県立がんセンター胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 4
Page : 472-479
Year/Month : 1984 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1975年11月1日より1981年末までに, 当センターで加療した臨床病期III期の肺癌患者は137名である. これらをもとに, 進行肺癌ではあるが, 手術を含めた集学的治療の対象となっているIII期肺癌に対し, 外科側からはどのように取り組むべきかを検討した. 137名中手術の対象となったものは31名でうち18名が切除可能であった. 治療の成果は, 治療開始後の生存期間をもって判定した. 検討に便利なように分類した各群の生存曲線は, KAPLAN & MEIER法により作成し, それらの曲線間の有意差検定は, generalized Wilcoxon testによった. 追跡調査は1982年6月末まで全例に行った. 50%生存期間は, 切除群18例, 非手術群106例, 全137例で, それぞれ49週, 34週, 39週であった. 切除群と非手術群の生存期間には, 5%以下の危険率で有意差があり, 切除群の予後がよかった. 切除群の予後を良くしている最大の原因は, p-TNMによればI, II期に相当するものが16%含まれているためで, 切除後p-TNMでIII, IV期となったものの予後は, 非手術例のそれと変わりなかった. 試験開胸例13例と, p-TNMでIII, IV期となった13例の予後とを比較してみると, 両者に有意差はなく, reduction surgeryの意義は確立されなかった. 以上よりIII期肺癌を手術する意義は, III期肺癌の中の, “読みすぎ”症例を救うことにあり, III期肺癌のうちPerformance Statusがよく, 且つ確実にIII期であるといい切れない症例は, 開胸してみる必要がある. また, N因子は術前と術後での不一致例が多く, 殊に読みすぎが多いT2-0, N2群に対しては, 積極的に切除を試みるべきであると結論した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : III期肺癌, 臨床病期, p-TNM, reduction surgery, Performance Status
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