Authors : |
泉山修, 数井暉久, 馬場雅人, 田中利明, 横山秀雄, 渡辺祝安, 佐々木孝, 杉木健司, 小松作蔵 |
Abstract : |
A-C bypass術後早期の管理を向上させる目的で, vasodilatorとして冠拡張剤であるnitroglycerin軟膏を使用し, その血行動態に及ぼす影響を検討した. 当教室にて最近施行したA-C bypass術10例を対象とし, ICU入室3時間後よりnitroglycerin軟膏1~3インチ(0.2~0.5mg/kg)を前脛部に塗布し, 塗布前, 塗布後15分, 30分, 60分, 90分, 2時間, 3時間, 4時間, 5時間, 6時間に血行動態を測定し, 以下の成績を得た. 1)心拍数は有意に減少した. 2)平均肺動脈圧, 平均肺動脈楔入圧, 平均右房圧は有意に低下し, preloadの軽減が得られた. 3)収縮期血圧は有意に低下し, afterloadの軽減も認められた. しかし拡張期血圧は不変であり, 十分な冠灌流圧が得られた. 4)preloadとafterloadの軽減及び心筋酸素消費量の減少により心係数, 一回拍出量係数は有意に増加した. 5)効果発現は15分ないし30分と速効性であり, 効果持続時間は約4時間であった. 以上の結果より, nitroglycerin軟膏の使用は, A-C bypass術後に高頻度にみられる高血圧のcontrolに有効であり, A-C bypass術後早期の管理に有用であると考えられた. |