アブストラクト(32巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 生体弁による僧帽弁置換術後の問題点の検討
Subtitle : 原著
Authors : 香川謙, 田林晄一, 田所正路, 阿部康之, 鈴木康之, 本郷忠敬, 庄司好己, 内田直樹, 関野美仁, 堀内藤吾
Authors(kana) :
Organization : 東北大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 4
Page : 512-520
Year/Month : 1984 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 生体弁による僧帽弁単弁置換例を対象とし術後遠隔成績, 合併症, 弁機能につき検討を加えた. 対象は3歳から58歳までの男子16, 女子14例でうち4例は15歳以下であった. 症例を使用した弁の機種に従いHancock(H)群23例とAngell-Shiley(AS)群7例に分けたが, 術後追跡期間の平均はそれぞれH群4.0±0.7年, AS群4.6±0.6年となった. 遠隔死は4例で内訳は小児の生体弁石灰化によるもの3例, 抗凝血療法に由来するもの1例となった. 弁の石灰化, 弁尖の破損, 高度狭窄の発生などの弁機能不全は5例にみられた. その発生頻度はH群3.3%pt-year, AS群9.3%pt-yearとなったが, 小児例では17.9%pt-yearと高率であった. 血栓塞栓症の発生を2例に認めた(1.6%pt-year)がいずれも術後抗凝血剤服用例であった. Actuarial methodによる生存確率及び合併症非発生確率は術後6年目でH群91%, 83%, AS群70%, 71%となった. 安静時及び運動負荷時とも評価にたえるデータの得られたH群14例, AS群6例を対象として両群の弁機能の対比評価を行った. 安静時, 運動負荷時の生体弁を介した拡張期圧差はH群で7.9, 19.3mmHg, AS群で16.6, 27.6mmHgと両脚とも運動負荷時には有意に上昇した. また心係数を除く諸標は安静時, 運動時ともにAS群がH群に比し不良な値を示した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 生体弁, 僧帽弁置換, 弁機能, 血栓塞栓症, 弁機能不全
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