Abstract : |
間歇的大動脈遮断解除併用cardioplegia法(IC), blood cardioplegia法(BC), 酸素加crystalloid cardioplegia法(CC)につき血液灌流イヌ乳頭筋モデルを用いて比較検討した. コントロール群(連続120分間遮断し20分ごとにCC注入), IC群(20分ごとに5分間の再灌流を行いそれを除く遮断時間を計120分とし, 各再遮断時にCCを注入. 灌流圧50, 100cmH2O, 血液温15, 30℃の組み合わせで4群に分けた), BC群(20分ごとにBCを5分間注入しそれを除く遮断時間を計120分とした. 高濃度グルコース付加群, 非グルコース付加群, 非グルコース付加高Na群の3群に分けた), 酸素加CC群(BC群と同様の操作を行いBCの代わりに酸素加CCを使用). すべての群で遮断中の心筋温を10~15℃に局所冷却で調節した. 各群5例づつ計45例を対象とした. 遮断解除30分後の心筋機能曲線の勾配の遮断前値に対する回復率は, グルコース付加BC群でコントロール群, 非グルコース付加BC群及び酸素加CC群に対して有意に高値であった. また灌流圧50cmH2O-IC群は100cmH2O-IC群より有意に高値であった. 再灌流30分後の組織像はグルコース付加BC群と酸素加CC群でコントロール群より障害が少なかった. IC群はすべてコントロール群より高度の障害を認めた. 以上より次の結論を得た. (1)ICはできるだけ避けるべきである. やむを得ず行う時は再灌流圧を下げることによりreperfusion injuryが軽減される. (2)高濃度グルコース付加BCは付加しないBCや酸素加CCより有利である. |