アブストラクト(32巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Senning手術後の肺高血圧クリーゼに対しトラゾリンが有効であったTGA(I型)の1例
Subtitle : 症例
Authors : 野村文一, 広瀬一, 松田暉, 島崎靖久, 島田康弘*, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *大阪大学医学部集中治療部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 4
Page : 576-581
Year/Month : 1984 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心房内血流転換術であるMustard及びSenning手術々後には, 肺静脈閉塞や, 肺高血圧症の残存, 増悪といった問題が生じることが知られている. 今回, 我々は11ヵ月のTGA I型でSenning手術々後, PaO2の低値が持続し, 肺高血圧症が生じるとともに, これが増悪し, 胸部X線上肺静脈閉塞を疑わしめた症例を経験した. 術後4日目に心臓カテーテル検査を施行したところ, PV obstructionは否定され, 肺高血圧症(64/40(48)mmHg)の存在のみが認められた. 術後5日目には, 左室圧と右室圧が逆転(LV/RV=1.4)するに至り, 術後肺高血圧クリーゼと考えられた. Tolazoline hydrochloride(1mg/kg/hr)使用開始することにより, 肺動脈圧及び, 左室圧が速やかに正常化し, 呼吸状態, 臨床症状も改善した. TGA術後急性期の肺高血圧クリーゼの発生及び治療について考察し, 報告するとともに, TGA I型における解剖学的左室の圧負荷に対する反応についても考察した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : postoperative pulmonary hypertensive crisis, TGA(type I), Tolazoline hydrochloride, Senning operation, Jatene operation
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