アブストラクト(32巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 2歳未満のExternal Conduit手術の成績とその問題点
Subtitle : 原著
Authors : 松田暉, 広瀬一, 中埜粛, 島崎靖久, 岸本英文, 大竹重彰, 小林順二郎, 小川實*, 有沢淳**, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *大阪大学医学部小児科, **大阪大学医学部放射線科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 6
Page : 847-855
Year/Month : 1984 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 種々の先天性心疾患に対するexternal valved conduit(以下conduit)手術は, 一般に4~5歳以降に行われるが, 疾患によってはより早期の乳児期に行わねばならない. 我々は2歳未満の8例に弁付conduit手術を行った. 疾患はtruncus art. 3例, pseudotruncus 2例, 両大血管右室起始+肺動脈閉鎖(DORV+PA atresia)1例, TGA II型1例, 及びTaussig-Bing奇形1例であった. Pseudotruncusの1例とDORV+PA atresia例は巨大側副気管支動脈を伴っていた. 8例中7例が肺高血圧(PH)及び肺血流増加を伴う心不全, 呼吸不全を有する症例で, 手術時年齢は3ヵ月より23ヵ月(平均14.6)であった. 弁付conduitはすべてHancockグラフトを用い, サイズは16mmが5例, 18mmが3例である. 手術はRastelli手術5例(Taussig-Bing奇形に対する変法1例を含む), 右室肺動脈間conduit手術が3例であった. 手術死亡は3ヵ月のtruncusの1例(手術死亡率12.5%)であった. 遠隔死亡を3例に認め, 生後10ヵ月のtruncusを術後4ヵ月に移植弁の感染にて, DORV+PA atresiaを術後3ヵ月に肺炎にて, pseudotruncus+PHの1例を術後15ヵ月にてやはり肺炎にて失った. 術後のRV/LV圧比は, 術直後1.0以上の1例が死亡, 他は0.51~0.77(平均0.68)へと下降し, 遠隔期(術後平均6.3ヵ月)にては4例中3例が更に下降を示した. Truncusの1例は術後6ヵ月でもRV/LV圧比は0.80と高値であった. 遠隔期において超音波断層法によるconduitの検索を行い, 4例においてconduitの内腔はよく描出でき, 明らかな内腔の狭小化はみられず, また弁の狭窄を思わず所見もみられなかった. Rastelli手術に代表されるconduit手術は, 2歳未満でも比較的安全に行い得るが, 1歳未満ではその危険率は高くなること, 及び遠隔期での管理に十分なる注意を要することが示された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 弁付conduit, 総動脈幹症, 偽性総動脈幹症, 大血管転位症, Rastelli手術
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