Authors : |
大石喜六, 青柳成明, 赤川治夫, 中村洋樹, 坂田高, 田尻敏行, 横倉義武, 小須賀健一, 古賀道弘, 山本英正*, 高木博己* |
Abstract : |
大動脈弁狭窄症は, 先天性大動脈狭窄症の中で最も多く見られる病型である. 教室で経験した11例の先天性大動脈弁狭窄症について, 手術法を中心に検討を加えた. 本症の手術の目標は, 弁口の拡大を行い, 左室圧負荷の軽減をはかると同時に, 閉鎖不全を来さぬように弁機能を維持することである. 本症の手術では, その対象は, 主に小児であり, 弁置換は避けたい. 弁切開術は, 本症の手術法として安全で有効な方法であるが, 弁尖の肥厚や痕跡的交連部の存在などにより弁切開のみでは手術効果の不十分な例がある. 弁切開術は姑息的手術であり, 将来の弁置換を考慮せねばならない. 教室では, 交連切開とともに, 肥厚した弁尖や痕跡的交連部をslicingするdebridement(debridementvalvotomy)を本症に用い好結果を得ている. この方法では, 交連切開は弁輪まで切開でき, 弁尖はsoftとなり, 弁機能の維持も良好で, 弁置換までの時間を延長できるものと考えている. |