Authors : |
竹内義広, 斉藤圭治, 田中國義, 岡部学, 金田正徳, 庄村赤裸, 矢田公, 湯浅浩, 草川實 |
Abstract : |
後天性弁膜疾患12例に対し, 術前・術後にわたってRIアンギオグラフィーを実施し, 血行動態と対比することによって, 術前後の右室機能を検討した. 方法は, 安静時及び運動負荷時に99mTc-赤血球標識を用いたRIアンギオグラフィーを実施し, 左右心室の駆出率(EF)を求めた. 検査は術前と術後7~10日目に行った. 研究成績は以下のごとくである. 1. RIアンギオグラフィーとほぼ同時期に施行したコントラストシネアンギオグラフィーと比較すると, LVEFはY=0.965X+0.045, r=0.868, RVEFはY=0.98X+0.003, r=0.820と良好な相関を得た. 2. 術前の運動負荷によりEFが増加する群(A群)と増加しない群(B群)とに分けられた. 3. RVEFの術前後の変化をみると, A群では術後早期に改善がみられたが, B群では術後早期に改善がみられなかった. 4. 術直後の血行動態について検討すると, 心係数はA群で2.50±0.36→3.46±0.39l/min/m2と増加するのに対してB群では3.36±0.29→2.81±0.36l/min/m2と減少した. 肺血管抵抗はA群で295±255→153±48dynes・sec・cm-5と減少するのに対してB群では146±82→178±63dynes・sec・cm-5と軽度増加した. 5. B群に術後, 低心拍出量症候群(LOS)となった症例が2例含まれるが, A群にはLOSの発生をみなかった. 以上, 右室機能が弁膜症術後早期の血行動態を決定する要因の1つであり, 運動負荷によるRVEF測定は手術予後を予測するうえで重要な指標となり得ると思われた. |