Abstract : |
モアレトポグラフィ法は, モアレ縞を応用して, 3次元物体を接触せずに計測することができ, 生体計測法として最も優れた方法である. 著者は漏斗胸をはじめとする前胸壁変形疾患の客観的評価法として, モアレトポグラフィ法の応用とモアレ縞の定量的解析を考え, 新しい臥位型モアレ装置の開発とマイクロコンピュータを利用したモアレ縞の解析システムを組み合わせて完成した. 著者の開発した臥位型モアレ装置は, 従来の立位型モアレ装置と異なり, モアレ縞の基準面が一定であり, 基準面から任意のモアレ縞の高さを測定基準器にて直接測定できる特徴をもっている. 従ってモアレ縞解析に最も適した装置と言える. またモアレ縞解析システムの開発により, 正面の1枚のモアレ写真から横断面, 縦断面, 胸部の容積が求められ, いろんな角度からながめた3次元表示も可能となった. 本装置を用いた臨床応用として, 前胸壁変形疾患者100例を対象としたモアレ縞によるパターン分類を行った. 漏斗胸は中心型が56%, 右優位型が36%, 左優位型が5%, その他が3%であった. 年齢別では5歳以下はほとんど全例が中心型であるが, 年齢が増えるにつれて右優位型が多くなる傾向があり, 36歳以上は全例が右優位型であった. 鳩胸はkeeled型が92%, pouter型が8%であった. 次に漏斗胸に対する手術前後の比較, 外来での経過観察に応用したが, いずれも有用な情報を得ることができた. |