アブストラクト(32巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 複雑心奇形に対するFontan手術成績
Subtitle : 原著
Authors : 島崎靖久, 大西健二, 広瀬一, 松田暉, 中埜粛, 賀来克彦, 白倉良太, 奥田彰洋, 森本静夫*, 有沢淳*, 島田康弘**, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *大阪大学医学部放射線科, **大阪大学医学部集中治療部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 6
Page : 913-919
Year/Month : 1984 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 右房-肺動脈吻合のmodified Fontan手術を施行した三尖弁閉鎖症4例, 三尖弁狭窄症1例, 僧帽弁閉鎖症2例, 単心室症3例の計10例の手術前後の肺循環動態を検討した. 単心室症の2例は肺静脈還流異常を, 1例は術前軽度の肺高血圧を合併していた. 他はすべて肺血流量減少例であった. 10例中, 三尖弁閉鎖症2例, 僧帽弁閉鎖症1例, 単心室症3例の計6例が手術死亡したが, うち三尖弁閉鎖症, 僧帽弁閉鎖症の各1例は気道出血による低酸素血症で死亡した. これらの2例は, 術後血行動態は良好であったので手術成功例として扱い, 他の低心拍出量症候群で死亡した4例を不成功例とし, 対比させて検討した. 右房平均圧は成功例で平均9±3mmHg(標準偏差)から15±2mmHgへ, 不成功例では6±3から19±4mmHgへいずれも術後に有意(p<0.05, p<0.001)に上昇した. 肺動脈平均台は成功例では術後平均15±3mmHg, 不成功例平均19±3mmHgと差を認めなかった. 左房平均圧は両群間で術前, 術後ともに差を認めなかった. 肺動脈-左房平均圧較差は, 術前は両群に差を認めなかったが, 術後は成功例では全例7mmHg以下で平均4±3mmHgにあったに対し, 不成功例では全例8mmHg以上の平均9±2mmHgを示し, 成功例に比し有意に高値であった(p<0.05). 術前の造影検査から左右肺動脈平均断面積を求め, これを正常右肺動脈断面積で除した値と, 術後の右房平均圧との関係を手術成功, 不成功から検討した. 成功例はこの面積比が0.34以上, 右房平均圧が20mmHg未満であった. すなわち, 手術不成功の原因は肺動脈低形成による血管抵抗が高いことと, 肺動脈が太くとも末梢肺血管抵抗が高いことによるものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 複雑心奇形, 右房-肺動脈吻合術, 肺血管抵抗, 左右肺動脈平均断面積
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