Abstract : |
低体温併用体外循環下開心術症例30例を対象として, 開心術殊に体外循環の内因性カテコールアミン代謝への影響について検討し, 特に体外循環が小児及び成人に及ぼす影響について検討した. 両群とも麻酔による血中カテコールアミンの有意な変動はみられなかった. 部分体外循環開始後5分における血中カテコールアミンの変動は, 小児群では小さく, 成人群では大きいが, この差は麻酔薬の違いによるものではないと思われた. 体外循環中の血中カテコールアミンの増加の経時的変化では, 小児群において血漿総ノルエピネフリンの変動は小さく, エピネフリンの変動は大きく, そのpeakは両カテコールアミンとも完全体外循環開始60分以降にみられた. 一方, 成人群において両カテコールアミンとも変動は大きく, そのpeakは部分体外循環開始後5分にみられた. この経時的変化の差は, 侵襲に対する適応反応の程度の差によるものと推察された. また, 小児群において両カテコールアミンに量的な差がみられたが, これは幼児期では交感神経が未発達であるためであり, 幼若なほど侵襲に対応するのは交感神経系よりむしろ副腎髄質系であることが推察された. 小児群では, 麻酔終了後も血漿総エピネフリンの高値が持続しており, 体外循環による侵襲は成人群に比してより大きいと思われた. |