Abstract : |
心臓外科の発展とともに高齢, 重症例にまで手術適応が拡大された現在, 輸血は不可避のことが多く, しかも開心術の場合, いったん有血症例となると大量が輸血されがちで, 輸血後肝炎の発症は高率のことが多い. 現行の供血液スクリーニングでは肝炎発症予防効果は不満足のため, 何らかの予防手段を講ずる急務を感じ, 肝にかなり特異的な酵素とされるguanaseを測定することによって供血液をスクリーニングする方法を企てた. guanaseが簡易に測定可能となったのは最近であり, まず教室の安全値を供血液脱落パック数を考慮し設定した. guanase 2.0単位以下を安全供血液とし, 術前にguanaseを測定, 安全血輸血を原則とした. 初期症例の検討の後, 現行の全輸血成分チェックを実施し, guanase無チェック群33例, guanase 2.1単位以上の危険血輸血群7例, guanase 2.0単位以下の安全血輸血群46例の計86例での成績を検討した. 各群の平均年齢, 体外循環時間, 総輸血単位数に有意差は認められず, 肝炎発症はguanase無チェック群16例48.5%, guanase危険血輸血群4例57.1%, guanase安全血輸血群11例23.9%で, 3群間のX2検定で有意差が認められた. 更にguanase無チェック群と安全血輪血群間でも有意差が認められ, 肝炎発症率は48.5%から23.9%へほぼ半減しており, guanaseによる供血液スクリーニングは輸血後肝炎予防に有用と思われた. |