アブストラクト(32巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 緊急手術によって救命し得た鈍的胸部外傷に伴う胸腔内気管完全離断の1症例
Subtitle : 症例
Authors : 赤荻栄一*, 斎藤亮, 新田澄郎, 藤村重文, 仲田祐, 佐藤博俊**
Authors(kana) :
Organization : 東北大学抗酸菌病研究所外科, *筑波大学臨床医学系外科, **若柳国保病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 6
Page : 944-947
Year/Month : 1984 / 6
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 交通外傷に伴った胸腔内気管完全離断例を緊急手術によって救命し得た. 症例は42歳男性で, トラックとコンクリート塀の間に胸部を前後に潰され, 近医に救急搬入後呼吸停止を来したが, 気管内挿管の上, 人工呼吸器を装着され, 両側胸腔ドレナージを施行されて回復した. 翌朝, 気管支鏡検査にて胸腔内気管断裂と判明したため当科に転送された. 気管支ファイバースコープの誘導下にダブルルーメンチューブを挿入し先端を左気管支内に留置して気道を確保した後, 受傷34時間後に開胸された. 気管は分岐部上第2及び第3軟骨輪の間で完全に離断していた. 離断端は2-0デキソン糸で全層の結節縫合を6本置いた後, その間を連続縫合で補強し吻合した. 術後3ヵ月目吻合部の肉芽増生による狭窄が著しくなったためヤグレーザーにて焼灼した. 術後5ヵ月の現在経過良好である. 鈍感外傷に伴う胸腔内気管損傷は交通災害や工場災害の増加に伴って増えているといわれるが, 救急処置が間に合わず緊急入院までに死亡するものが多い1)~3).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腔内気管離断, 気管再建, 鈍的胸部外傷, ダブルルーメンチューブ, 心嚢気腫
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