Authors : |
藤村重文, 近藤丘, 山内篤, 岡部健, 半田政志, 塩ノ崎文博, 斉藤亮, 赤荻栄一, 仲田祐 |
Abstract : |
最近10年間に経験した転移性肺腫瘍の手術例27例を対象として, それらの手術成績を検討し, 手術適応や手術予後に影響を及ぼす因子について考察した. 原発巣の手術を先行した群(22例)では, 3年及び5年生存率は各々49.0%を示したが, 肺転移巣の切除を先行したものでは1例のみが術後1年9月生存中であり, 残る4例が平均術後8月で死亡している. 転移性肺腫瘍の手術適応では原発巣の切除時期が大きな問題点である. 予後因子のうち, tumor free intervalが40月以上か, またtumor doubling timeが50日以上のものでは, 術後長期生存の可能性が高くなることが示された. 病巣が単発か多発か, あるいは術式で肺葉切除か部分切除かなどは予後とは関係がみられなかった. 4例に対して両側手術が行われているが, 2例が1年8月及び5年5月で死亡し, 2例が2年及び2年10月生存中である. 両側肺手術を二期的に行った3例では, 片側手術後早期には対側転移巣が術前よりもtumor doubling timeの短縮する傾向を示すことから, 転移性肺腫瘍に対する両側肺手術は可能な限り一期的に行うべきであると考えられた. |