アブストラクト(32巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左房粘液腫手術前後の血行動態的特徴
Subtitle : 原著
Authors : 榊原尚豪, 石井潔, 筒井達夫, 黒沢博身, 遠藤真弘, 橋本明政, 小柳仁
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 7
Page : 1018-1022
Year/Month : 1984 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1975年1月から1982年4月までの間に13例の左房粘液腫を経験し, 手術前後の血行動態を評価した. 13例中10例は僧帽弁狭窄症と類似した症状を示すもので(I群, MSタイプ), 3例は僧帽弁閉鎖不全症を合併していた(II群, MSRタイプ). I群に対しては粘液腫摘出手術を, II群に対しては粘液腫摘出手術+僧帽弁形成術を施行した. 血行動態的には, I群では拡張期に粘液腫の左室への嵌頓が少ないか, 又は無く, 手術後僧帽弁圧較差はほぼ完全に減少するが, 左室拡張終期治績は有意に変化しない. II群では拡張期に粘液腫が左室内へ大きく嵌入しており, 手術後左室拡張終期容積は減少し, 駆出率, コンプライアンス, コントラクティリティは著明に改善する. 左房粘液腫では, 粘液腫の左室内へ嵌入した部分の大きさが僧帽弁閉鎖不全症の有無とともに血行動態に大きく影響し, 僧帽弁形成術による逆流の消失とともに, 拡張期に左室へ大きく嵌入する粘液腫の除去により容積負荷が軽減したため, II群では手術後, 左室拡張終期容積が減少したと考えられる. つまり術前の左室拡張終期容積は, 嵌入した粘液腫により見かけ上増大しており, 実質的左室拡張終期容積≒左室拡張終期容積-嵌入部分の容積であり, 血行動態的には容積負荷である点が特異的である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心房粘液腫, 左房粘液腫, 左房粘液腫の血行動態的特徴, 心臓腫瘍
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