アブストラクト(32巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弓離断症の外科治療における成績向上因子に関する臨床的研究
Subtitle : 原著
Authors : 石原茂樹
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 7
Page : 1035-1047
Year/Month : 1984 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1968年から1981年3月までの間に心研外科で経験した7例の大動脈弓離断症の根治手術成功例を対象に, 術前状態・術中外科手技・術後遠隔期成績を検討し, 手術成功理由の分析と外科治療上の問題点を考察し, 成績向上因子を明らかにすることを試みた. 7例の手術時年齢は生後31日から4歳7ヵ月, このうち3ヵ月以下の2例は緊急手術, 4ヵ月以上の5例は待期手術を行った. 解剖学的には動脈管狭窄型は3例, 動脈管開存型は4例であった. 術式としては大動脈弓部再建術と心内修復術を同時に施行した一期的手術が5例, 大動脈弓部再建術と心内修復術を2回に分け施行した二期的手術例は2例であった. 術後合併症は術式に関わらず3ヵ月以下例に認めた. 大動脈弓部再建術式は1歳以上例では人工血管・Blalock-Park吻合・弓部終末部-下行大動脈直接吻合のいずれでも生存例が得られたが, 3ヵ月以下の2例では弓部終末部-下行大動脈直接吻合法でのみ生存例が得られた. 遠隔期成績ではいずれの術式にも圧較差を認めた. 術前の肺動脈圧は全例肺高血圧を示していたが, 検査し得た4例中2例は低下し, 2例では肺高血圧が持続した. 以上より, 本症の外科治療の課題は手術時年齢が3ヵ月以下例の成績向上であると考えられた. 術前因子としては早期の診断確定と動脈管の狭窄の有無をふまえた術前管理の改良, 術中因子としては麻酔法・補助手段などの改良及び解剖学的特徴に基づいた術式・外科手技の再検討が必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弓離断症, 根治手術成功例, 術前状態, 術中外科手技, 術後遠隔期成績
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