アブストラクト(32巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の各種酵素値の変動―特に心筋温の影響について―
Subtitle : 原著
Authors : 堀田明男
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 7
Page : 1065-1072
Year/Month : 1984 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心筋保護法としてヤング氏心停止液, GIK液, 局所冷却法の三者の併用によって開心術を行った32症例並びにヤング氏心停止液, GIK液にて開心術を行った4症例の術後の各種酵素値について検討した. CK-MB値の大動脈遮断解除後48時間以内の最高値と大動脈遮断解除後20時間の値との間に強い相関が認められた(r=0.840, p<0.005), 術後第1日目の朝のCK-MB値とCK値との間に強い相関が認められた(r=0.876, p<0.005), CK-MB値とGOT値との間にも相関が認められた(r=0.517, p<0.005). 他方CK-MB値とLDH値との間には弱い相関しか認められなかった(r=0.169). CK-MB値, GOT値, GPT値. LDH値について重回帰分析を行い, 重回帰式を求めた. この重相関係数は0.626であった. 心筋温15~20℃にて手術を行ったI群と局所冷却法をより積極的に行うことにより, 心筋温5~10℃にて手術を行ったII群との比較を行い, II群の方がCK-MB値は有意に低い値を示し, 心筋保護効果の良いことが認められた. ASD根治術症例にて局所冷却法非併用群と局所冷却法併用群との比較を行い, 後者が良好な結果が得られ, 局所冷却法の心筋保護上の有用性が認められた. 局所冷却法を積極的に行い, 心筋温5~10℃にて手術を行うことにより, より一層良い心筋保護効果が得られることが示唆される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋保護, 心筋温, 局所冷却法, 酵素値, 重回帰分析
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