アブストラクト(32巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸骨正中切開による小児の開心術後に生じた乳糜胸の治療経験
Subtitle : 症例
Authors : 木谷正樹, 遠藤将光, 佐藤日出夫, 能登佐
Authors(kana) :
Organization : 石川県立中央病院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 7
Page : 1114-1117
Year/Month : 1984 / 7
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 術後合併症としての乳糜胸はまれなものであり, 主として大動脈縮窄症や動脈管開存症などの術後に発生するものと考えられていたが, 最近になって胸骨正中切開による開心術後にも発生することが明らかとなった. 我々は過去10年間に胸骨正中切開による小児の開心術後合併症として3例の乳糜胸を経験した. 乳糜胸の発生原因としては胸腺組織とその周辺を電気メスで切離する際に胸管の分枝を損傷することによると考えられた. いずれの症例も厳重な脂肪制限食, 中鎖脂肪酸(MCT)の経口投与, 胸腔内持続吸引の併用により保存的に比較的短期間に治癒させることができた. 開心術後合併症としての乳糜胸は比較的まれなものと考えられている. 特に小児心疾患では術後乳糜胸は大動脈縮窄症, 動脈管開存症やBlalock-Taussig shuntなどの術後にみられるものが大部分で, 心のう内で手術操作の行われる開心術後に発生した乳糜胸の報告は極めて少ない. 我々は過去10年余りの間に胸骨正中切開による小児の開心術後に3例の乳糜胸を経験し, いずれも治癒させることができたので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 術後乳糜胸, 小児開心術, 胸骨正中切開, 脂肪制限食, 中鎖脂肪酸(MCT)
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